2009年1月19日月曜日

ブルックナーはお好き?

 オーケストラを弾くお手伝いによく行かせて頂いていますが、この10ヶ月間でブルックナーの交響曲を3曲(1、3、6番)演奏しました。
 どれも人生で初めて弾いたものばかり。これまでブルックナーについて色々なコメントが耳に届いていましたが、それらはどちらかというとネガティブなものが多く、第2ヴァイオリンは刻みが地獄のように続く(これは作品の評価とは別ですが)、長い、そしてつまらない→何がいいのか分からない・・・とまぁ、こんな感じ。でも逆にポジティブな意見としては、4番や8、9番ていいよね~!とも。
 そしてそのような意見の中、私は初めて弾く時には至って前向きでした。そして実際弾いても前向き。その理由を考えてみたら、過去の2つの経験が思い当たりました。

 一つは、人生で初めて生で聴いたブルックナーが、イタリアのシエナという街にある有名な大聖堂で行われたチョン・ミョン・フン指揮で第9番。あまりに感動したのを一生忘れることはないでしょう。なぜなら、ブルックナーは素晴らしいオルガニストで、彼はいつもオルガンと教会の音響を想定して音楽を作っていたからで、私が聴いたものは正にその環境での響き→ブルックナーの音だったからではないかな・・・。教会の中は満席で、私はかなり後ろの席で聴いていたけど、音楽が聞こえてくるずっと向こうのオーケストラの方を見ると、溢れ出ている音がオーラとなって光っているように見えたのが強烈な印象!

 二つ目は、教会の響きというものが、ドイツ留学中にすっかり身体に染み込んだこと。石造りの街にいるだけで街や家の中の生活音が全く違います。教会で演奏する機会も多く、オルガンの音にもよく触れ、あの独特の音響は、どんなに残響のあるコンサートホールでも、それとは全く異なります。

 それらの経験のお陰で、どんな音響でブルックナーを弾いても、いつでもあの響きを思い描くことができる。そして、弾きながらブルックナーの音楽に身を委ねて、ステキだなと思える。これって、幸運な、ラッキーな経験としか言えませんよね・・・

 これらの事で、経験によって抱くイメージの影響が本当に大きいということを改めて思いました。何がいつどこでどう自分に影響するのか日々想定なんて出来ないけど、何よりまず、自分の気持ちがポジティブであることが、一つ一つの経験をもポジティブにする大切なことかもしれません。

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