2009年4月6日月曜日

海の向こうからのメール

 
 メールチェックをしたら、見覚えの無いアドレスからのメール。一応ウイルスとか迷惑メールとかも警戒しつつチェックしてみたら、差出人がハングル文字。何となく直感で「・・・!」、受信してみたら、なんとフライブルク時代の友達からでした。

 ドイツの音大での同じ門下生で、彼女は韓国の音大に行かずにフライブルクの音大で1年生から学んでいたので、私が音大に入学(正確には編入)したより先にいて、卒業は私の後でした。すごくおだやかで心優しくかわいげのある子で、門下の最初の顔合わせの時からとても親しみを持って仲良く接してくれて、何も分からない私にとっては本当に救われる存在の1人でした。

 門下の集まりがあったりすると、私と同時に編入してきた中国人の男の子(しかも私と同じ年!)と日・中・韓の3人で話に花が咲く事も多かった。やっぱり欧州にいるとアジア人には親しみが沸くようで、今までまったく知らなかったお互いの共通点や違いがたくさん見えてきて、親しみとアイデンティティに目覚めたり、歴史的・政治的な問題とか多くても、1人1人は同じ人間同士で、国境を超えた絆が芽生えました。あ、それはもちろんアジアに限ったことでなくいろんな国の人同士にあてはまった事ですが。

 そういえばドイツへ行って間もない頃こんなことがありました。
 ある時、オーケストラの本番の為の移動のバスの中で中国人の友達と楽しくお喋りしていたら、それを見ていたフランス人の友達が不思議そうに、また少しおかしそうに
「君達なぜドイツ語で喋ってるの?」
始め、質問の意味がハテナだったのですが、彼らにとってアジア人はみな同じに見えていて、言語も同じだと思っている人が、実は多くいるようで・・・まだまだアジアへの認識の遅れというか、その時目の当たりにしました。
「我々は中国と日本で国も違うから言葉も違うのよ」と話すと、
「え?でも中国と日本って仲が悪いんじゃないの?」
またも我々は一瞬あっけにとられながらも、
「それは政治上の問題かもしれないけど我々にはそれは問題ではないのよ!」
へ~・・!と、フランス人の彼が人生で初めて接した事柄のような表情をしていたのが印象的でした。

 まぁ、アジア人同士がドイツ語で会話しているのを面白がられるのはたびたびありましたけどね。例えばポーランド人とスペイン人がドイツ語で会話してても、同じことだと思うんですが、アジア人の場合は見た目の問題でどこか滑稽さを感じるんでしょうね。欧米人とアジア人の見た目の違いはどうにもなりません。


 話は戻りますが、韓国人の留学生も多かったので彼らとの交流も多く、向こうで知ったお互いの事、そこから芽生えた絆・・・日本にいる方が距離が近いのに実はお互い知らない事だらけなんだなぁと実感。ってよくある話のようですが。。やっぱり欧米人よりも文化とか習慣とか似たところがたくさんあり、近しい仲間であり、そして欧米とかアジアとか越えて同じ人間であり、またアジアから遠く離れたヨーロッパで西洋音楽を愛して学ぶ仲間同士の共通点がなおさら絆を深めていたのかもしれません。

 ヨーロッパに行って考えさせられたアジア人の関係。おもしろいキッカケです。


 メールをくれた彼女は、フライブルクを卒業した後この先どうしようと悩んでいましたが、今フランス・アルザス地方のストラスブールの音大で勉強を続けて、この夏に卒業したら、いよいよ韓国に帰るとのこと。私が日本に帰るときに招待したパーティに来てくれて、その時に渡した私のメールアドレスを今まで保管していてくれて、一年以上経った今、私のことを想って連絡をくれて、ありきたりの言葉ですが、感動。人の温かい心に触れたときに幸せに感謝したくなります!


 彼女への返信にも思わず書いたこと。「今よく考えるの、フライブルクでは素晴らしいことに溢れていたけど、一体なにが素晴らしかったんだろうって。それは、街であり、自然であり、人々であり・・・、そして、そこで出会った友達たちであること。みんなに感謝してる。」

 「いい仲間」に国境も人種も関係ありません。近い将来、必ず彼女と再会できますように・・・!

 

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