2009年5月24日日曜日

チェコから回顧する

 今オーケストラでスメタナの『わが祖国』を弾いています。2曲目のモルダウはあまりに有名。全曲は実はちゃんと聴いたことがなく、今回これを演奏する事は私の中でもまた新たな開拓。冒頭から響き渡るハープから始まり、チェコの誇りと哀愁に心が震える。プラハを訪れた時の肌で感じた空気、景色、色んなものが目の前に蘇って弾きながら時々目が熱くなりそうな瞬間がある。
 タイムリーというべきか、丁度さっきテレビのN響アワーでミクローシュ・ペレーニのソロでドヴォルザークのチェロ協奏曲をやっていた。ここでもチェコ!ミクローシュ・ペレーニの同じこの曲の演奏を10年近く前にやはりN響アワーで観た時の衝撃も併せて思い出しながら、ここでも再び胸が熱くなり。ペレーニ。すごい。

 そこから回顧が進む。ペレーニというと、ミクローシュの姉か妹か、エスター(本当はエシュターというのかな)・ペレーニというヴァイオリニストにどうしてもバルトークを習いたくて、ドイツから真冬のブダペストまで飛んでいってレッスンを受けた事を思い出した。彼女とはある講習会で偶然の成り行きでの出会いだったけど、それが私には大きな何かをもたらしてくれた。レッスンを受けたリスト音楽院に足を踏み入れた時の感動も今でも生生しい。外観はサッパリしていたけど、建物の中ではタイムスリップしたような錯覚を覚え、バルトークもここにいたんだなぁと感慨に浸った。バルトークに異常なまでに親近感を覚えていたある時期の自分にとっても特別な時間だった。またエスターの強くて温かい人間性というか魂というか。たった2週間の講習会でと1度の単独レッスンだけだったのに、彼女にまた会いたいと、強くつよく思う。

 回顧といえば、先日テレビのバラエティ番組の中で「5月の旬!北海道のアスパラガス」というのが出てきて、そういえば、ドイツも正に今アスパラガスの季節じゃないかぁ~!と思い出した。ドイツと北海道は緯度が近く気候や風土も似ているからだなとか思いながらドイツの5月を思い起こす。5月のヨーロッパ。新緑が生きいきノビノビと溢れ、生きる喜びに溢れた最高に美しい季節。

 日本へ完全帰国して活動し始めてから1年以上が経ったんだ。始めは慣れなかった都会の雑踏、騒音・・・それがストレスとなり、どうやってそれをうまく流せるか、慣れるか、いい気分転換ができるのか等々の試行錯誤もありながら、今ではやっと今いる状況に慣れて落ち着いてきたんだなあと感じもする。
 それでも、いろんな経験や記憶というのは、場所や時間を関係せず自分の中に鮮明に生き続けるものだということもこの1年間で強く感じること。これからも多くの経験や感動を積み重ねていきたいと思うし、自分の気持ち次第でいくらでも感動は増やせるとも思う。

 今の指揮者、コバケンこと小林研一郎さんは、リハーサルの時から音のひとつひとつに最高の気持ちで臨んでおられて、その時の響きに「感動しました・・!」とよくおっしゃっている。
 となると。まずは明日と明後日の本番でもたくさん感動するぞ!感動できる為にまずはゆとりをもって弾けるように充分練習しておかないと・・・ですけどねっ!
 
 

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